2006年08月13日

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十三)

◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十三)


◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十三)

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、「五山の送り火(大文字焼き)」

 八月十六日夜、京都の夏の風物詩であり夏の夜空を彩る「五山の送り火」が、京都市街を取り巻く山々で営まれる。多くの人が、ゆく夏を惜しみながら、送り火に手を合わせる。

 当日の午後八時、大文字山(東山如意ヶ嶽、左京区)の「大」に火が灯され、それに続き「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」のかな文字や図形が、次々と山上に浮かび上がる。漆黒の夜に、オレンジ色の炎の文字がつくり出す幻想的な世界が京の街を包みむ。

 「五山の送り火(大文字焼き)」は、盆に迎えた先祖の霊を見送り、無病息災を祈る精霊送りの伝統行事である。大文字の火が消えると火床から「炭」を取り出そうと多くの人(無病息災を願う人)が殺到するそうだ。(※注1)。

◆◇◆「お盆」「盂蘭盆会(うらぼんえ)」、「精霊流し」

 八月十五日夜、長崎市・佐世保市で、お盆の伝統行事「精霊流し」が営まれる。夕刻から、いくつもの灯篭を飾った精霊船、藁で供物を包んだこも船が運ばれ、慰霊の爆竹のけたたましい音とともに精霊船を担ぎ引く人の流れは夜遅くまで続くそうである。

 長崎の伝統行事「精霊流し」は、この一年亡くなった人の霊を精霊船に乗せて「西方浄土」に送る行事で、県内各地で繰り広げられる。長崎市中心部では、爆竹や鉦(かね)が鳴り響く中、大小さまざまな船が列をなす(※注2)。

※参考Hints&Notes(注釈)☆彡:*::*~☆~*:.,。・°・:*:★,。・°☆・。・゜★・。・。☆.・:*:★,。・°☆

(※注1)十四・十五両日は、精霊は家に留まり、十六日の夜、家を去り、元いたところに帰ってゆく。伝統的な日本の霊魂観では、先祖の霊魂は、決してキリスト教で説くような天国や西方十万億土の浄土といった観念的な世界ではなく、われわれの住むこの世界の中に同居して(草場の影から見守って)いるのである。

 自分の子孫の無事安泰を確認(そのために、われわれは先祖の霊魂を接待する)したら、満足した先祖の霊魂を、今度は送り火を焚き、帰り道を照らして、霊を送り出す。これを「送り火」といい、「盆送り」、「送り盆」などとも呼ばれる。

 迎え火、送り火の習俗は江戸時代に盛んになったもので、川や海に灯籠を流す行為「精霊流し」や有名な京都に五山に炎で文字が浮かび上がる「大文字焼き」もまた、盆の送り火の一つである。

(※注2)「精霊流し」は、家々に迎えた先祖の霊を、祀り終わって送り流すお盆の行事である。七月(新暦・旧暦)十五日夕方か十六日に行われる所がほとんどで、稀に二十日過ぎに行う例もあるそうだ。

 先祖の霊(祖霊)は山や墓・寺などから迎えることが多く、川や海から迎える例は僅かである。これに対して送る場合は、迎えたときと同じく門口や墓などに火を焚くほかに、盆棚の材料に用いた竹・真菰(盆茣蓙)や供え団子や茄子・胡瓜で作った牛馬などを辻に納めたり、それらを川や海に流すことによって先祖の霊を送り返そうとしている例が多いようだ。

 迎えてきた時とは異なる場所に送ろうとしているのは、霊の迎え・送りを統一的に捉えようとする観点からは辻褄が合わないが、それは長年にわたる他界観の変遷や重層の結果による矛盾と考えられている。


スサノヲ(スサノオ)


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Posted by スサノヲ at 12:00│Comments(0)スサノヲの日本学
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