2006年08月28日

◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(四)

◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(四)


◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(四)

 ※出羽弘明氏の『新羅神社考-「新羅神社」への旅』(三井寺のホームページで連載)を紹介する。出羽弘明氏は「新羅神社と新羅明神の謎」について、現地に出向き詳細に調べておられる。そこからは、古代、日本と新羅との深い関係が窺える。内容を要約抜粋し紹介する(新羅明神、白髭明神、比良明神、都怒我阿羅斯等、天日槍、伊奢沙別命、素盞嗚尊、白日神、新羅神など)。

◆◇◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎、越国(越後)と妙高山

 越後には、新潟県中頸城(くびき・久比岐)郡妙高村大字関山の新羅明神を祀る妙高山関山神社がある。関山神社の祭神は国常立尊(くにとこたちのみこと・関山大権現・聖観世音菩薩)・伊弉冉尊(いざなみのみこと・白山大権現・十一面観世音菩薩)・素盞嗚尊(すさのをのみこと・新羅大明神・騎獅文殊菩薩)の三神だ。

 祭神の神々は国土創成の神である。国常立尊と天孫族に連なる伊弉冉尊と素盞嗚尊(『出雲風土記』では須佐能烏命、『古事記』は速須佐之男命)だ。素盞嗚尊については須佐の男という意味で、須佐之男ともされる。元々この秘仏・聖観世音菩薩(関山大権現)が新羅仏であることから、国常立尊ではなく、素盞嗚尊の垂迹として祀られていたようである。

 神社の由緒は、元来は蝦夷といわれた人々(倭族)が妙高山を祀っていたが、その後新羅(加羅)系の人々が入植、越の地方は出雲地方や諏訪地方と同類氏族が統治していたようである。当地方には新羅系渡来人が居住しており、そのため、大国主命の父神とされるスサノヲ命(スサノオ命・須佐之男命・素盞嗚尊)が祀られるようになったのであろう。

 関山神社の地は、本来農業を守る水分(みくまり)神の聖地であったようで、それに渡来系の祖神である新羅系の神が合流したようである。妙高山山頂には八大竜王の棲む興善寺池がある。また、七月十七日に行なわれる神仏習合・密教・修験道が結びついた祭礼の火祭り(柱松の儀)は、妙高山の神に対する祭りのようだ。このように山と山上の池を神とする信仰は、日本神話の一つの類型である洪水神話、或いは山の峯への祖神降下神話や羽衣伝説もこれらと通ずるものがある。

 また、越の国(越後)は出雲神や諏訪神とのつながり深く、例えばスサノヲ命の八俣の大蛇退治の条の「高志の八俣の大蛇、年毎に来て喫(く)へり…」や、素盞嗚尊の子(或いは五代の孫とも六代の孫ともいう)の大国主命は、糸魚川の沼河比売(ぬなかわひめ)へ求婚に訪れますし、二人の間にできた子神が「国譲り神話」の建御名方命(たけみなかたのみこと)で信濃の諏訪神社の主神とされる。

 『出雲国風土記』の「国引き神話」には、「高志の都都の三埼を国の余りありや見れば国の余りあり…来縫える国は三穂の埼なり」とある。この地方は、古くより出雲との交易や出雲族の移住があり、朝鮮半島や中国大陸などとの交易により、早い時代から開拓が進んだ地方であったようだ。

 妙高山関山神社の由緒から、元来は蝦夷といわれた人々(倭族)が妙高山を祀っていたようだが、その後新羅(加羅)系の人々が入植したようである。越の地方は出雲地方や諏訪地方と同類氏族が統治していた、いわゆる部族の都市国家があったようだ。

 関山(関川沿)や奴奈川(姫川沿)にも、縄文時代遺構高地性の集落が存在し、硬玉や陶器の生産と流通が行なわれており、それが弥生時代中期頃から鉄を持った先進文化が伝来し、生産活動が発展していったと考えられている。新井市・板倉町・中郷村・妙高村の頸南地方に古代遺跡が集中していることからすると、古代はこの地帯が越後の中心地であり、国府もこの辺りにあった。


スサノヲ(スサノオ)


同じカテゴリー(スサノヲの日本学)の記事画像
◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(三)
◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(二)
◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(一)
◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十八)
◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十七)
◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十六)
同じカテゴリー(スサノヲの日本学)の記事
 ◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(三) (2006-08-28 23:54)
 ◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(二) (2006-08-27 00:26)
 ◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(一) (2006-08-23 22:16)
 ◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十八) (2006-08-21 22:41)
 ◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十七) (2006-08-20 10:14)
 ◆夏の行事、お盆・盂蘭盆会(うらぼんえ)(十六) (2006-08-18 00:00)

Posted by スサノヲ at 23:55│Comments(1)スサノヲの日本学
この記事へのトラックバック
仙台市の牛タン専門店でつくる「仙台牛たん振興会」は牛タン業界の活性化策として、9月10日を「牛タンの日」に決めた。「9」を牛(ぎゅう)、「テン(10)」をタンとする語呂合...
9.10「牛タンの日」 仙台の振興会が活性化策【東北の観光・地域活性を考える】at 2006年09月07日 17:46
妙高 国民休暇村で日本百名山「妙高山」をバックにのんびりとした時間を・・・ 休暇村 妙高のおすすめプラン 宿泊プラン 「ぶらっと妙高号」で行く! 妙高満喫周遊プラン 料金 お一...
妙高 国民休暇村 日本百名山の宿【国民 休暇村 国民宿舎で温泉 旅行】at 2007年05月09日 22:58
昨日、『三船祭』が行われました。『三船祭』は平安時代、白河天皇が主催して公卿らが和歌・漢詩・管弦の3つの船(三船)を嵐山大堰川に浮かべて才を競ったという故事の復元だそうで...
三船祭【京都嵐山温泉・渡月亭日記】at 2007年05月22日 16:02
日本百景に名高い、妙高 国民休暇村の周辺のお楽しみと、温泉の足湯などを案内します。■ ハイキング 笹ヶ峰周辺には、ロケーション抜群のハイキングコースが数多くあります。夏は高山...
妙高 国民休暇村 日本百景の周辺案内 温泉足湯【国民休暇村 国民宿舎で温泉旅行】at 2007年06月04日 17:57
乱というのは単なる国内の反乱、役というのは戦争、城というのは古代では中央朝廷が作った要塞、柵というのは俘囚(ふしゅう)側の作った要塞似たような意味でも、使い分けたようです...
乱と役、城と柵(1)【日本の歴史@これがキーワード】at 2007年06月17日 12:17
乱というのは単なる国内の反乱、役というのは戦争、城というのは古代では中央朝廷が作った要塞、柵というのは俘囚(ふしゅう)側の作った要塞似たような意味でも、使い分けたようです...
乱と役、城と柵(1)【日本の歴史@これがキーワード】at 2007年06月17日 12:25
徳島県は危険地帯!
徳島県は危険地帯!【徳島県は危険地帯!】at 2007年07月30日 20:00
この記事へのコメント
妻木晩田の四隅突出墳丘墓が造営されなくなってもそこに隣接する島根県安来市の塩津山墳墓群では古墳時代まで造営が続き、やがて全国一の大方墳を作るまでに集権化されています。
この地は出雲風土記でもスサノオが「安来」という名前を付けたという事で、古代出雲王朝の首都と考える人もいます。
Posted by 日波母里 at 2007年08月26日 23:26
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
◆新羅神社考、新羅神社と新羅明神の謎(四)
    コメント(1)